第1章

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大声をあげたライム。 みんな、ライムの方向を見る。 全員、いまから異様な光景を目にするだろうこと、異様なことが起こるであろうことを分かっていたようだ。 ライムの大声で、体育館内にいる生徒たちの緊張の糸が切れる。 うわぁぁぁぁぁー。 きゃぁぁぁぁぁー。 悲鳴が体育館内に響く。 体育館内には、靴を脱いで上がらないといけない。 なので、靴箱に靴を置く生徒もいれば、勝手口のところに靴を置き、そこから館内に入る生徒もいた。 しかし、大半は体育館正面の玄関口の靴箱に靴を置いている。 体育館内の生徒は、正面入口に押し寄せる。 一年生が、いまはいないとはいえ、それでも800人の生徒がこの体育館内にいることになる。 なので、全員一気に走り出したら、体勢を崩す生徒も出てくる。 走る生徒。転ぶ生徒。 痛い!! 転んだ生徒にもおかまいなしにみんな必死で体育館正面口に走る。 ライムは、舞台上にいる安芸先生を見る。 安芸先生は、この事態を想定していたかのように冷静だった。 そのとき、ライムはある光景が目に浮かんでいた。 「みんなー!! とまれー!!」 だが、その声は届くことはなかった。
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