第1章

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玄関正面口には、体育館から我先に出ようと、大勢が押しかける。 ライム、良、佐織、美代は、それを遠目から見ている。いや、もう、この状況ではただ立ち尽くすしかできなかったというのが妥当な表現かもしれない。 ライムは、みんなに「逃げろ!」と大声で叫んだために、こうなったかもしれないと後悔する。 「ここから逃げないといけない」という判断に関しては、正解だ。だが、「逃げることができる」という意味とは違う。 気付くのが遅かった……… みんなには、見えてないだろうが体育館正面玄関口には白いモヤが行く手を阻むように待ち受けている。 ぎゃあっ!! ぶべっ!! んぐぅ!! 助けてくれっ!! 玄関正面口からまっさきに出た生徒たち。そして、その生徒たちがどうなったかを目にしても後ろからなだれこむ生徒たちに前を押される。結果、その生徒たちも玄関正面口から出ることになる。 だが、体育館から出た生徒たちにもう息はない。無惨にも切り刻まれている。 それを見た生徒たちは言葉を失う。 勝手口の方から出ようとした生徒たちにも同様のことが起きていた。 「みんな、分かったな? ここから、出ることはできないんだ。この俺がそうさせないかぎりはな。生きてる生徒は、さっきみたいに整列しろ。! でないと、お前らもアイツラみたいに無惨な姿になるぞ!!」 死にたくないー。 それは、みんな同じ想いだった。 そのためには、いまは安芸先生の言うとおりにするしかなかったのである。
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