515人が本棚に入れています
本棚に追加
外から見ると、外はぼんやりと白い霞のようなものがかかっている。だが、それは、長府学園全体を覆っており、外から見ても「霧がかかってるね。」とかそのような会話ですむレベルである。
体育館の方を職員室から見つめている人影がある。
コンコン。
職員室のドアをノックする。
「食堂の荻野ですけど………」
「どうぞ。入ってください。」
食堂の荻野が入ってくる。
「荻野さん、処理はもう終わりました?」
「ええ。終わりましたよ。でも、もしかしたら、見られちゃったもね。」
「食堂入口の血とかも急いでみんなで拭いて、死体も焼却炉に持っていってとかしていたら、急にライム君たちがはいってきて、おばさーんって呼ぶもんですから。」
「ライム君たち?」
「おばさーんって呼んだのは佐織ちゃんだったかな。あとは、良くんと美代ちゃんもいたわね。特に、ライム君は勘が鋭いから何か感づいたかもしれないかな。」
「そうですか。でも、もうどうにもできませんよ。あと、食堂のみなさんも私たちに協力してくれてありがとうございます。」
荻野は、そんなことない、と首を横にふり、職員室から体育館を見る。
「はじまってるわね。」
「はい。あとは、待つだけです。好きなようにさせて、どうなるのか。私も安芸先生も最後は任せるしかないんです。」
「綺麗事ではやっぱり、もう済まされないからねぇ。」
二人は、そう言うとどこか悲しげな視線で体育館を見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!