第1章

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「ライム………俺らどうしたらいいんだよ………一体、いまから何が起こるんだよ………俺たちだけ、何で舞台の上に呼ばれてんだよ………」 良は、とても不安そうな表情をして、ライムを見る。しかし、残念ながらライムは、その問いに答えることはできない。 たとえ、答えたとしても気休めになるような言葉をかけることはできないからだ。 「みんなが………みんなが………白いモヤに覆われている…………嘘だよね? 私たち以外を………こんな大勢の生徒を………」 佐織は、顔面蒼白になり、自分の考えを必死に否定している。しかし、佐織が考えていることは、ライムの考えと同じだった。 ライムは、美代へと視線を向ける。 美代は、とても悲しそうな表情をしている。 気のせい………か? そこには、動揺している、もしくは恐怖や不安を感じているものはない。むしろ、こうなるのを分かっていたような、そんな感じさえした。 だが、いまはどうすることもできない。この状況を見守ることしか四人にはできない。 安芸先生が四人を見る。 「妙なことをしようと考えるなよ? しっかり、前を見ろ。いまから、起こることをしっかりとな。」 四人は、白いモヤの方へと再び視線を向ける。
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