第1章

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「ななな、何が起こってんだよ………なあ、ライム黙ってないで答えてくれよ!」 良は、すがるような声でライムに問いかける。しかし、ライムは答えない。いや、答えられない。 何が起こっているのかは、本当は良にも分かっているはずだ。佐織も美代も。 美代………? 佐織は、顔を両手で覆っている。そこからは嗚咽が聞こえる。 しかし、美代はそうではなく、白いモヤの少女を見つめている。正直、何を思っているのかライムには分からなかった。 しばらく、悲鳴が聞こえた。そして、そののち、静寂がおとずれる。白いモヤの少女は、少女の形を崩し、ただの白いモヤになる。白いモヤがどんどん、薄くなる。舞台下の生徒たちを覆っていた白いモヤが晴れる。 そこにあったのは、やはり予想していたとおりだった。 見るも無惨な姿とはまさにこのことだろう。そのようにしか、形容しがたい光景が目の前には広がっていたのである。
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