第1章

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やむように思えぬ大雨。 雨だけでなく、風も強い。まるで、台風のようだ。 長府学園を覆っていた白いモヤが徐々にはれていく。 同時に、雨も徐々に止み、風も弱まる。 「終わったようですね。」 「えぇ。もう全部終わった。これで、満足したと思います。」 「沼田先生、あとはどうするんだい?」 「あとは………あの子たちに任せます。どういった判断をするか………最後にどういった決断をするか………」 「ライム君はとってもいい子なんだけどね………顔もいいし、頭もいい、何よりツンッとしたとこもあるけど、とってもやさしいんだよねぇ。」 「それでいて、綺麗事はだいっきらいですよね。授業を受けている彼を見て、そう感じます。だからこそ………」 「すっかり、晴れたね。さっきまでの大雨が嘘のようだよ。」 「沼田先生、最後はどうするんだい?」 「もちろん、彼らに立ち会います。そして、彼らの結論をしっかりと聞きます。」 職員室から体育館を見る沼田先生と荻野。 長かった六時間目。いつもの授業の倍以上の時間に思えるほど、長く感じたのではないだろうか。 そして、嘘のようで現実である目の前の出来事。 信じたくなくても、現実には違いない。 ライムはそう思いながら、六時間目終了のチャイムが鳴り響くのを目を閉じながら聞いていた。
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