第1章

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体育館内に残っているのはライム、良、佐織、美代の四人。それに加え、安芸先生。 四人は、生き残ったのか。それとも生かされたのか。 安芸先生は、何かを確認するように舞台の上を右端に移動し、次には左端に移動している。 いつの間にか白いモヤも消えていなくなっていた。 舞台の上からの確認が終わったようで、安芸先生が一言呟く。 「取り残しはいないな。」 と。 最初は、その意味が分からなかった。何のことを言っているのかさえ。だが、すぐに分かった。おそらく、安芸先生はこう言いたかったのだ。 「殺し忘れはいないな。」 という意味を込めて。 それを聞き、いま舞台の上にいる四人は生き残ったのではなく、生かされたということが分かる。 しかし、何故、生かされたのか。おそらく、ランダムではない。何か意味があるはずだ。 安芸先生が目を向ける。 「それじゃあ、帰りのホームルーム始めるから、教室に移動するぞ。無駄なことは話したくない。とりあえず、教室に戻るぞ。」 安芸先生は、そう言うと背を向けて歩き出す。 抵抗しても無駄なことは分かっていた。 四人は、無言のまま、安芸先生の背中を見つめるような形で、あとを追うように歩き出した。
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