第1章

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「みんな、今日のホームルームはちょっとだけいつもより長くなる。だから、みんなの家にはいま、ケータイで一言、遅くなると連絡を入れてくれ。」 全員、ケータイを取り出す。ポケットの中からライムと良はケータイを、佐織と美代は自分の机の横にかけてあるカバンの中からケータイを取り出す。 少しだけ期待はした。 しかし、その期待はもろくも崩れ去る。 さっきと同じく、ケータイは繋がらない。 電話もメールもネットもその他の機能も何故か作動しない。 「どうした? 連絡していいんだぞ?」 安芸先生が、みんなに言葉をかける。 必死でケータイのボタンを押すが、ケータイは反応しない。唯一、電源の入切はできるのだが、それ以外は何も反応を示さない。 「何で、ケータイ使えないんだよっ!」 良がやけになったように大声を出す。 「使えない? 先生のはどうかな?」 安芸先生は、自分のケータイを取り出し、操作しはじめる。 「ほんとだ………せ、先生のも使えないぞ………どういうことなんだ………」 安芸先生は、あたかも知らないような白々しいような表情で驚いた顔をする。 「知ってたんだろっ!! 嘘つくんじゃねぇよっ!!」 良は、この瞬間、恐怖よりも怒りが増す。机を前に投げ飛ばした。 「良!! やめろっー!!」 ライムが静止をかける。 「良くん、ダメッ!!」 「やめてーっ!!」 佐織、美代も同じように静止をかける。 だが、必死で静止を呼び掛ける声は、良に届かなかった。 良は、すでに安芸先生に殴りかかっていたのである。
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