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「みんな、今日のホームルームはちょっとだけいつもより長くなる。だから、みんなの家にはいま、ケータイで一言、遅くなると連絡を入れてくれ。」
全員、ケータイを取り出す。ポケットの中からライムと良はケータイを、佐織と美代は自分の机の横にかけてあるカバンの中からケータイを取り出す。
少しだけ期待はした。
しかし、その期待はもろくも崩れ去る。
さっきと同じく、ケータイは繋がらない。
電話もメールもネットもその他の機能も何故か作動しない。
「どうした? 連絡していいんだぞ?」
安芸先生が、みんなに言葉をかける。
必死でケータイのボタンを押すが、ケータイは反応しない。唯一、電源の入切はできるのだが、それ以外は何も反応を示さない。
「何で、ケータイ使えないんだよっ!」
良がやけになったように大声を出す。
「使えない? 先生のはどうかな?」
安芸先生は、自分のケータイを取り出し、操作しはじめる。
「ほんとだ………せ、先生のも使えないぞ………どういうことなんだ………」
安芸先生は、あたかも知らないような白々しいような表情で驚いた顔をする。
「知ってたんだろっ!! 嘘つくんじゃねぇよっ!!」
良は、この瞬間、恐怖よりも怒りが増す。机を前に投げ飛ばした。
「良!! やめろっー!!」
ライムが静止をかける。
「良くん、ダメッ!!」
「やめてーっ!!」
佐織、美代も同じように静止をかける。
だが、必死で静止を呼び掛ける声は、良に届かなかった。
良は、すでに安芸先生に殴りかかっていたのである。
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