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「あ、あの!それで、もめん様は紫様達とどういう関係何ですか?」
主である藍さんが愛情という名の鼻血を吹き出して豪語しているにも関わらず、橙ちゃんは首を傾げた
どうやらこれは日常茶飯事らしい。橙ちゃんが、まだ幼いのに大人の対応をしているのがその証拠だろう
「教えてあげるけどその前に、様付けはしなくて良いよ?僕はそんなに偉い人じゃあ無いからね。僕はただの一反木綿。所謂反物の付喪神なんだから」
「で、でも紫様達のお友達なら……」
「アハハハ。幼いのに礼儀正しいね、君は。そうだね……じゃあ、さん付けでお願いしよう。どうかな?」
「……はい!分かりましたもめんさん!」
「ありがとう。それで、紫さん達との関係だったね?そうだね……旧知の仲であり、僕のお得意様かな?」
「お得意様?」
「今、紫さん達が着ているこの服はね?僕が仕立てた物なのさ」
「もめんさんが!?」
「うん。僕の身体を一部使って、僕が仕立てたんだ」
「もめんは高価な反物が使われず忘れられ、そのまま付喪神になった存在なのよ。だから彼女の身体は高価な反物で出来ているの」
「それを知った紫様が、私を式にした時の記念にともめんに頼んだんだ。もめんは自分の身体を使って、他人に服を仕立てるのが趣味だからな」
「貰う物は、きっちり貰うけどね」
「へぇ~、知らなかったです!」
「なんなら、橙ちゃんにも作ってあげようかい?お得意様だし、無償で作ってあげよう」
「良いんですか!?」
「うん。橙ちゃんだけダメなのは、ちょっと悪いからね。良いかな?」
「ありがとうございます!」
「良かったね橙」
「じゃあ立ち話を続けるのも難だし、家に入りましょう?」
「そうだね。お邪魔するよ」
「橙ちゃん、きつくないかな?」
「はい。大丈夫です……あの、もめんさん」
「何かな?」
紫さんの家にお邪魔した僕は、早速橙ちゃんの採寸を始めた
すると、少々顔を赤らめた橙ちゃんが恥ずかしそうに、はにかみながら言う
「あの……もめんさんの採寸ってこうやるんですか?」
「この方が一番分かりやすいんだよ。“君の身体に直に僕の身体で触れる”のがね」
そう言って僕は、橙ちゃんの素肌に僕の身体でもある布を巻き付けていく
誤解されそうだから先に言うけど、僕は変態じゃないからね?
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