第2章~好き~(冬の華編)

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《こうなったらヤブ医者なんて当てにせず強攻最終手段です!冬、着ている物をとっとと脱ぎなさい。》  …‥‥え?と、あまりにも突然の命令に冬は自分の耳を疑った。が、聞き間違いでは無いとでも証拠づけるように珠里夜は迷い無く春の両手足を縛りつけていたタオルを外し、汗だくの彼から手際よくぐっしょりと重くなっていた衣服を脱がせて生まれたままの姿にしてしまう。…‥何故? 「どーゆーつもりですか!?」 まさか、こんなに弱り切っている春に、自分が二番目の育母にされたような最悪な事をさせるつもりか?という考えが回り、冬は怒りに任せて地団駄を踏んだ。まさか、AEDのようにある程度の身体的ショックを与えて通常の状態に戻そうと考えついたんだとしても、まだ自分よりずっと幼く、純粋無垢の春にそんな事をするなんて、あんまりにも酷すぎるじゃないか?と、そのまま声に出して叫んでしまいそうになる冬に大人の女性の、大人の怒りを含んだ声が真っ直ぐにかけられて、思春期の子供の馬鹿げた思考をスッパリと切り裂いてくる。 《強攻最終手段だと言ったでしょう。冬、落ち着いて聞きなさい。貴方には神力以外の能力として、治癒力としても使える秋冬薬草利用能力があるのです。これは貴方の成長を今の姿で留める為、私が唯一開花させず残しておいた能力です。が、やむを得ません。》
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