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小一時間も過ぎた頃だろうか?呼吸が大分楽になって来て、胆を外に吐き出せた春がうっすらとアメトリン色の瞳を開き、まだ意識が朦朧としている中で自分の熱い身体をずっと抱き締めてくれて、ずっと煎じた薬草を飲ませてくれていた彼の名前を呼ぶ。
【‥ふ……ゆ‥‥‥】
「春!?」
【あ…‥‥の、ね…】
汗と涙と、嬉しさと不安が交差するそこでやっと瞳を開けてくれた春は泣いて泣いて、泣いて泣いて泣いて、やっとの事で伝えたくても伝えられなかった言葉を囁いて来た。
【…ふゆ…‥‥すき…】
「っ、!?」
【まえ…‥ごめ…なさ………しないっ!も、しな…………だから‥っ、いで】
「…………」
【ふゆ…嫌わな、いで……おねがぃ……】
今すぐ砕けてしまいそうな儚い涙顔で願い、熱い吐息に肩を震わせながら見上げて来た春に貫かれ、言葉では到底云い表せない感情になった冬はより一層強く春を抱き締め、より一層深々と幼い唇に自分の唇を重ねた。が、その理由については全て、彼は薬草のせいにして本音を繕った。
「…‥、嫌ってないよ?」
【ほ‥んと…???】
「うん。」
【‥じゃあ、私の、コト……】
「~だから、良い子だから、薬草で早く治そう?」
【…‥‥‥】
「ほら、口開けて…薬草、ちゃんと味わって?」
【ふ…………っ、あっ!】
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