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「綺麗で気が強くて、ラグビー部の桐斗を投げ飛ばすようなお姉さんが怯えてたんだ。頭が痛くなるよ……」
あの金持ちばか息子が何か裏で手を回したに決まってる。
いくら桐斗がばかでアホで気にしない単細胞でも俺の方が気分が悪い。
俺の回りを固めてまで、俺に理想の兄を演じさせようとしてるなら俺だって拒否する権利がある。
「ふぅん。お前、苦労が絶えないなぁ」
「ありかと……。お前だけだよ」
普段毒舌な武井が優しいと思ったら。
「美味しい飯食いたくないか」
眼鏡がキラリと光る。
最近は学食ばかりだったし。
「ビール、飲みたくないか」
ごくりと俺の喉が鳴ってしまう。
「可愛い女の子たちと」
「…………いや、それはいい」
「お前なあ! お前はもうバイト二つ掛け持ちして貧乏すぎて彼女にフラれる男じゃないぞ! 年商数億円の金持ち社長の息子だぞ!!!」
「合コンは疲れるから嫌だ」
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