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「新婚旅行中に帰らせてごめんなさい。これからも成績は不安定になるかと思うけど、俺、頑張るから」
「涙ちゃん……」
「兄さんは憧れなんだ。綺麗な顔なのに苦労してて、努力家で、安い服も兄さんが着ると一流のブランド服みたいで」
ちょくちょく馬鹿にされてる気がするが、睨もうにも母さんに睨まれていて何もできない。
「だから兄さんみたくなりたくて。兄さんと同じ大学を受けたくて。暫くはそっちの教科に力を入れようと思ってるんだ」
「はぁ!?」
「ごめんね。兄さん……。迷惑だよね?」
うるうると涙を浮かべる涙。
鬼の形相で俺を睨む母。
俺と涙が仲が悪いのかと複雑そうな義父。
――完全に悪者じゃねーか。俺は。
「お前の進路はお前が決めるんだから俺は知らない」
「……でも、俺が嫌いだよね?」
今すぐ胸ぐら掴んで殴ってやろうか。
それよりも、上の服を脱いでこいつに噛まれた後やキスマークを見せてやろうか。
睨み付けていたら、義父が提案してきた。
「涙の勉強を見てやってくれないか? 夏生くん」
「は?」
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