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「私はそこに戻るまで隊長に関する全ての権限を貴女に委ねると言った。戻れない可能性だってある。だから……本部データベースのパスコードを開く」
『わかりました』
意を決したような千冬副隊長の声と同時に自分のスマートフォンを操作する。
本部データベースと繋がったのを確認して、パスコードのナンバーを打ち込んでいく。
「副隊長。貴女の番」
スマートフォンの画面が明滅し、千冬副隊長がパスコードナンバーを打ち込んでいることが知らされる。
そして――『承認』の二文字。
「これで万が一の時は、そのまま貴女が隊長に就任することができるから」
『隊長。一つ聞きたいんですが』
「何?」
『これって……本部に連絡は入れてます?』
「そんな時間あると思う?」
『やっぱり……』という千冬副隊長のため息が聞こえてきた。
「これ……始末書もんですよ?」
「帰ったら書くわよ。でも帰れなかったら、副隊長書いてね」
『いやですよ!! 必ず帰ってきてくださいね』
「努力する」
千冬副隊長のその言葉に返事をして、私は小型の無線機を切ったのだった――
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