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この際、本人かどうかは問題ではない。
タレコミをしてきた人物が『八代目水野水乃』を名乗った――。
このことこそが重要な問題なのである。
なぜなら――水野水乃という男は――
「あのぅ……」
いろいろと思考を巡らせている時だった。
若いウェイトレスが私の方に声をかけてきた。
「……これを。お客様に渡して欲しいと」
おずおずと差し出された大きな封筒を受け取る。
「これ……どんな人が持ってきたの?」
封筒を受け取りながら、ウェイトレスに聞くと、怯えたように答えた。
「男性です……」
「どんな?」
「背が高くて……綺麗な顔をした……」
その人物のことを思い出したのだろうか。
ウェイトレスの頬がうっすらと紅く染まった。
「そう……。ありがとう」
ウェイトレスに笑顔でそう言うと、安心したような顔をして、軽くお辞儀をしながら、その場から立ち去って行った。
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