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慎重に封筒を開き、中を確認する。
封筒の中に入っていたもの――。
スマートフォンと小さく折り畳まれたメモ紙――そしてキャラメルの小箱。
キャラメルの小箱を振るとカラカラと小さな音がした。
蓋を開け、中のものを取り出し、それが何か――確認できた時、全身に緊張が走った。
爆弾の部品で使われる――雷管――。
突如、封筒の中に入ってあったスマートフォンから着信を告げるメロディが流れた。
『エリーゼの為に』――。
メロディに惹かれるようにして、スマートフォンを手に取り、電話に出た。
「――はい」
辺りを伺いながら、そう言うと――。
『――やあ』
それは親しい友人に接するような声色で――。
『来てくれたんだね、嬉しいよ』
周りに気取られないように――けれども、わずかな異変も見逃さないように――神経を研ぎ澄ます。
電話に出た男――おそらく水野水乃を名乗る男――。
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