57人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「……約束だから」
どこから電話をかけている?
周囲を見渡す。
千冬副隊長にもこの会話は流れている。
指示を出しているのだろう。
テナントビル全体に、統率の取れた、張り詰めたような空気が動いているのがわかった。
『ふっ……ククッ……』
突如、スマートフォンの向こう側から押し殺したような笑い声が聞こえた。
『もしかして……僕を探してるの?』
おかしくてたまらないと言った風な男の声――。
「まぁね……。一方的に呼び出しといて、電話だけなんて……あんまりでしょう?」
男の声に皮肉で返す。
『あんまりなのはそっちでしょう? 僕は貴女に会いたいって言ったんだよ? 貴女と二人っきりでお話したいって……』
男の声から、笑いが消えた。
『誰が保護者を連れて来いって言ったよ?』
刹那。
何かがはぜるような音が響き。
間髪を入れずに、悲鳴が響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!