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折り畳まれたメモ紙を開く。
東館の三階……。奥にある男子トイレ……。
「最低のセンスしてるわね、あんた。待ち合わせに選ぶ場所じゃないでしょ」
『じゃあ、待ってるからね?』
私の皮肉を無視して男は一方的に電話を切った。
舌打ちをしたい衝動を押さえながら、耳元の無線機を操作する。
「副隊長、聞こえる?」
『はい、聞こえます』
瞬時に応答が入る。
「これより私は、四番隊を離脱、単独行動に移る。私が四番隊に戻るまで、隊長の指揮権を含め、全ての権限を千冬副隊長に委ねる」
『……了解』
少しの間の後、千冬副隊長が返事をした。
「副隊長。今から本部データベースのパスコードを開くから」
『……それって?』
「会話を聞いてたからわかるでしょ? 相手は本気だ。しかもプライドを傷つけられたか何か知らないが、機嫌もすこぶる悪い。はっきり言って……ヤバい」
千冬副隊長が沈黙する。
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