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武道館内は“しん”と静まり返っていた。
中に入ると暗くて何も見えなかったが、
道場に視線を向けると、光が入っていて、思ったよりも暗くはなかった。
屋外灯の明りが窓から入るお蔭だ。
俺は真っ直ぐ光の先へ向かい、
全面畳貼りの1階道場を抜け、柔道部部室に入った。
部室内には窓が無く、真っ暗だった。
なんだか怖くなって、誰かに見られることも警戒せずに、部室の電気をつけてしまった。
部室内は入って左右面が棚になっている。
そこに籠が置いてあり、部員それぞれに割り当てられていた。
温泉の脱衣所みたいな感じだ。
俺は初めにざっと床を見て、
目的の携帯が落ちていない事を確認すると、
自分の籠を覗いた。
それで携帯はあっさりと見つかった。
思った通り、着替えの時に制服から落ちたようだ。
そう思いながらも、ほぼ無意識に――携帯を見た。
時間が、
丁度2時22分だった。
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