134人が本棚に入れています
本棚に追加
元々オカルトなんて信じていないし、
ここで噂がデタラメだと皆に言ってやるのも面白そうだな、と思ったんだ。
くだらない噂にビビッている自分も嫌だった。
だから、“先の見えない階段”を上った。
真っ暗で先が見えないから、手摺に頼る。
足許だけを見て、一段一段、緊張しながら上った。
得体の知れない寒気と、
階段を踏み外してしまう錯覚が、前進を妨げた。
上がるに連れ、まるで重力が増すように、全身がどんどん重苦しくなっていく。
やがて誰かに足首を掴まれているように、
足が上がらなくなった。
吐き気と眩暈がして、“これ以上は危険だ”と自分の中の何かが警鐘を鳴らしているんだと自覚した。
さすがにこれはまずい――と、ようやく馬鹿な事をしようとしているんだと気付き、引き返そうとしたが、
身体がいう事をきかず、
殆ど自動的に、進んでしまう。
“ダメだ”
と強く思い、目を瞑って身体を堅く緊張させると、
ようやく意思通りに、止まることができた。
最初のコメントを投稿しよう!