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僕が死んだのは、今から10年くらい前かな?
僕の身体には、服で見えないところにたくさんの傷跡が在る。
ケロイド状のもの、痣になっているもの……たくさん。
背中なんかは元の形容(かたち)がどんな風だったのか、判らないくらいに肌が変形している。
帝嶺はとても良い処だ。
そんな僕の身体を見ても、馬鹿にしたりからかったり――心配はすれど、陰口を叩いたりする人間は1人も居なかった。
心に余裕の有る人間ばかりだからだろう。
本当に良い友人たちに出会えた。
だから最近噂で囁かれている、“虐められて自殺した幽霊”っていうのが僕のことならば、友人たちの名誉の為にも、はっきりと否定させてもらおう。
僕が知る限り、この10年間帝嶺にいじめなんてものは存在しない。
では何故死んだのか、というと、それはこの傷跡がどういう経緯でつけられたのか、という話をする方が早いだろう。
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