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毎日家に帰る事と休日が本当に、本当に苦痛で、辛くて、たまに部活の後、そのままこの物入に籠って一晩過ごした。
翌日は勿論、激しい責苦が待っているのだけれど、
それでも目先の甘い誘惑だと解っていて、その誘い水を求めた。
そうやって僕の心は完全に壊れていき、
この、心休まる、
仄暗く、黴臭い、檻の中で、
首を吊った。
月明かりの差し込む、幻想的な夜だった。
その時の感情は覚えていない。
ただ事務的に、首に通した紐を窓の格子に括り付け、
座る体制で首を圧迫した。
反射的に苦しんだと思うが、
一番安心できる、包み込んでくれるこの檻の中、
“この苦しみは、僕を胚に戻してくれるための特恵なのだろう”
と最期に慶んで、死んだ。
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