???

6/11
前へ
/160ページ
次へ
 及川君は何ものにも囚われず、  自由で、  飄々としていた。  生きていても死んでいても、囚われの身である僕とは正反対。  また、芸術肌であり、奇矯な振る舞いをしていて、形式ばった僕の心を惹きつけた。  しかし不思議なことに、  彼は僕とは正反対の筈なのに、何となく雰囲気だけは似ていた。  そうやって、彼に魅せられていった。  が、及川君は、とても感性の鋭い子らしく、  僕の存在に無意識ながらも感づき、  その上で、沈木で牢を造り、  僕を其処に追い遣ってしまう。  僕は益々身動きがとれなくなった。  死んだときと同じように、窓下に座る毎日を送って過ごした。  ただ及川君に、思いを馳せながら。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加