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及川君、死んでくれないかな――
僕とずっと一緒に居てくれないかな――
そうやって願うと、毎日少しだけ会いに来てくれる。
まるで飼い犬に御褒美をあげるように、沈木を少しだけどかし、手を入れて教科書の出し入れを行うんだ。
全く会いに来ないなら、僕も手段を選ばないで彼を殺そうと思ったけれど、まるでそれを見透かしているかのように、会いに来てくれる。
だから僕は、その僅かな会遇を楽しんだ。
板を2枚共外してくれれば僕も出られるんだけど、置き勉するためには1枚で事足りるわけだから、残念ながら狭くて出られなかった。
でも、不満は無かった。
僕は差し出される及川君の手に触れるだけで、毎日幸せだった。
しかし僕は悲しいことに悪霊なのだから、
感の良い及川君は、やがて忌避してしまう。
2年に上がると同時に、転校してしまったのだ。
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