福島、会津若松へ

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それからは、自分でも何をバックに詰めたのか? パニクリながらも、高校生だった息子に後の事をお願いして家を飛び出した。 実家は我が家から20kmぐらいの所にあり、パートをしながらほとんどの休みは母の元へ行く事が多かったので、 慣れた道を車を走らせながら、どうすれば父の病院に行けるのか?さっきの母の言動について考えていた。 元看護師だった母があんな風に言うのだから本当に危ないのかも、と思うとゾワゾワと不安が押し寄せてハンドルを握る手が固まってしまったかの様だった。 実家に着くと、母は父の弟である叔父さんに連絡を取っていて、今から家族で来てくれると言った。 私は少し安心して母の準備を手伝った、多分、何日かは帰れないかもしれないので、母の愛猫のエサの準備や戸締りなどチェックして 「保険証は?銀行かクレジットカード持った?」と私が確認の為に言うと「あっ!そうだ!」と家の中へ戻って行った。 やはり、母は動揺しているのだなと思った。 叔父さん達が来てくれて、車に乗り込むと、久しぶりに会う従兄弟がハンドルを握っていて挨拶もそこそこに、その頃まだ珍しかったカーナビに病院名と電話番号を入力すると、直ぐにルート案内が出てビックリした事を思い出します。 それからは宇都宮市街を抜け東北道を北へ、しばらく走り郡山から磐越道に入り会津若松まで、車内では久しぶりに会う従兄弟と色々な話をするたびに、いちいち母は「こんな時に、そんな話するな!」と怒られてばかりだった。 しかし、小さな時の話で盛り上がってしまうのを抑えることが大変だった。 生真面目な母といると色々と気遣わなければならない事が多い、正直めんどくさいのである。 会津若松のインターで降りると、時間も遅かったせいのか? 漆黒の闇の中に雪の匂いがして、ヒンヤリした静かな感じがより、北の方に来たのだという事を実感していた。
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