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急性期病棟へ
病院へ着くと、多分ちょうど日付が変わるぐらいの時刻だったろうか?
暗闇の中、救急入口の赤色灯が目立って直ぐにそこへ行けば良い事が分かった。
受付をして迷路の様な廊下を夜間担当の方に案内され急性期病棟の入口に来ると、スラッと背の高い美人な看護師さんが現れ、言われるがままに、防護エプロンとマスクをして私と母は不安なまま薄暗い部屋に静かに入っていった。
その看護師さんが静かに「○○さん!ご家族の方が見えましたよ。
分かりますか?」と声をかけた。
すると、私達に向かって「よう!」と手を上げた。
母は「あっ、動くよ!右が、大丈夫だ。」と言った。
私は今迄の不安と緊張と寒さなのか?固まっていた心と体が緩んでいくのが分かった。
母は長い間、国立病院で看護師長を務め来ていて、脳外科病棟にもいたことがあり、現役を終えてもなお、プライド高い看護師であった。
だから、おおよその父の状態が分かったのだろうと思った。
ただこの時、私はこれから何が起こるのか?
想像も出来ないでいた。
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