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やっと主人達が来る日、もう私は朝から今か今かの様に準備を整えて待っていた。
どうやら父は高熱が出ていた間に幻覚でも見たのだろう、落武者が来たんだ。と話した。
私はもうどうでもいいように聞いていた。
お昼をちょっと過ぎたあたり、主人と娘、そして母が病室に入って来た。
まるでバトンタッチする様に母と替わる様に車へ乗り込んだ。
福島からの帰り、主人や娘との他愛の無いお喋りにしみじみ解放された安心感のなかで疲れが溜まっていたためなのか?
変なところに痛みを感じて塊の様になってしまった身体をどうしたらいいのか?
動かす事も億劫で、サービスエリアに寄るトイレ休憩が精一杯であった。
本当なら、窓の外を眺めることが好きな私が一切、外の景色を楽しむことはなく、自宅に着いた。
家へ着くと、倒れ込むよう自分の布団に潜り込んだ。
改めて、自分の家がこんなにも安心する場所なんだと思った。
しかし、眠りたいのに逆に頭が冴えてきてしまっていた。
すると、愛猫のガブちゃんが何時も通り、私の懐に潜り込んできた。
久々のケモノの温かさと感触にギュッと抱きしめると、本当なら利かん坊さんでこんな時は怒って咬みついてもいいのに理解してくれているかのようにジッとしてくれていた。
何故だか自分でも、よく分からない涙が溢れてきて、しばらく布団の中で泣いていたら、いつの間にか寝てしまっていた。
おかげで、次の日までうつらうつらと時々目覚めたりはしていた様でしたが気が着いたら夕方になっていた。
あちこち身体に痛みがあったが頭はスッキリしていた。
そして今迄当たり前に過ごしていた日常がどれだけ私自身にとっての居場所で有ったかという事を思い知らされていたのでした。
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