福島、会津若松へ

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疑惑 そんな或る日の事、明日は久々に母と一緒に病院に行くことになり、朝早目に母を迎えに行き、宇都宮駅側に車を駐車場に入れ、新幹線で郡山まで、それから二回ほど乗り換えて会津若松へ、その車中、母は急に妙な話しをし始めた。 今回のこのスキー旅行には、女の人が同行していたと思うと言い始めたのだ。 「なんで?まさか?」と言うと、 「腕時計、出て来ないでしょう、多分、彼女がもっているんじゃないかと思うのよ。」と母は言った。 何の根拠があってそう言えるのか?私は不思議に思っていた。 特に母は若い頃より、父を疑い相当なヤキモチ焼きである事は幼い頃の私でも理解していたので、そんな母がサラっと言えるなんて?と違和感を感じていた。 でも、彼女は感の鋭い人であった。 父は大手の保険会社の仕事をしていた。 保険会社は女性で成り立つ様な職場であるため携帯も無い時代、会社の女性から電話があるたび母は何時も意味不明なヤキモチを焼いていた。 何処にそんなエネルギーが有るのか不思議なくらいであった。 そんな中、父は上手に立ち回っていた様に見えた。 多分そんな母に対処する苦労は大変なものだったと思ったが、そんな父と母の関係に半ば呆れていた。 しかし、やはりショツクな話しではあったが、 私の中では、ありかも、と有るかもしれないと思った。 私がパートで仕事をしていたのは、ある様々な施設を合わせた複合施設でその温泉館と呼ばれる場所でお弁当類や地ビールなどの販売をしていた。 そこでよく来る、常連さんのお年寄りの方達の情報でお付き合いの話しは良く有る話しとして聞いていたのだ。 でも、まさか?母からそんな話しを聞くことになるとは思ってもいなかった。 「でも、どうして?」と聞くと、 すると、父が良く行くジムで待ち合わせしていて今回のこのスキー旅行も初めてじゃ無いと言うのだ。 「じゃあ、知ってて知らぬ顔してたわけ?」と言うと、「まぁね。」と言った。 何処までが母の妄想で、何処までが真実なのか? もう推し測ることが出来ないでいた。 こんな道すがらに聞く話しだろうか? 私は整理出来ずに父とどんな風に顔合わせしたらいいか考えていた。
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