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「新藤さん、考えたことないわけ?結婚とか。」 「はははっ。ないですね・・・。相手もいないし。」 「あれ?彼氏、いるんじゃないの?」 どこでどうなって、そんな話になってる? 「いませんよ?ドコ情報なんですか、それ。」 「酒井。酒井が前に言ってたからさ。新藤さんは彼氏なんていないって言われてるけど、絶対にいるって言ってたから。」 課長・・・、思いっきり勘違いしてた話を何で安田さんに。 「はははっ。勘違いですね。」 「えーーーー。新藤さんは彼氏がいるけど、その話題には触れたがらないから、神聖にして冒すべからざる領域ってことになってるのに!!!」 「それって、課長と安田さんの間でってことですよね。」 「いや、若い子達は知らないだろうけど、アラサー以上の社員の間ではそういう話になってる。」 なんじゃそりゃ。 「へぇ。勘違いもそこまでいくと面白い感じですね。ははっ。」 知らなかった、神聖にして冒すべからざる領域って。 「そろそろ、戻りませんか。お手洗いも行きたいですし。」 「あっ、酒井のこと、どう思ってるのか聞いてないのに!!!」 「課長だと思ってます。尊敬してます。入社したときから、ずっと課長の背中を見て、仕事してきたんですよ?それ言ったら、安田さんのことも尊敬してますね、私。二人は一番近くにいる社会人のお手本ですから。」 安田さんの聞きたい答えでないことは十分に分かっていたけれど、これも本音。 会社に並んで歩きながら。 「ねぇ、水谷君と私だと釣り合い取れない?」 なんて聞いてくる。 「水谷君、安田さんが彼氏持ちだと思ってますから、彼氏いないって教えちゃいますよ。」 「・・・4歳差は大きいよね。」 「どーでしょう。案外、いいかもしれないですよ。アラサー女子の希望の星ですよ、安田さん。」
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