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──え。
一瞬何が起こったのか理解できなかった。
──え、俺何されてる?え?先輩?何で?あれ、俺何でここに来たんだっけ?先輩の様子がおかしくて…あれ?
そして押し倒されていると漸く理解した頃には既にマウントポジションを取られた後だった。
「先輩?どうしたんすか?何の冗談…」
「冗談じゃねぇよ!!」
俺は努めて明るく話そうとしたが、先輩の怒号がそれを阻止してしまった。もう冗談では済ますことが出来ない空気だ。
目の前にいる男は確かに自分に欲情している。獣のような双眸が俺をねめつける。蛇ににらまれた蛙のように、俺の体は動かなくなった。
「岩橋…岩橋好きだ…好きなんだ…最初は可愛いなとしか思ってなかったけど…全部お前が悪い、お前が俺を誘うから…だから…」
先輩は譫言のように好きだ、好きだと囁きながら俺の服を脱がしていく。素肌の上を固いマメが出来た手で撫でられる。
──ああ、今から抱かれるのか。この男に。
まさか、初めてのセックスが男相手など思いも寄らなかった。
誘っている、と言われても心当たりなど全くない。
「誘ったお前が悪い」
責任転嫁も甚だしい。俺は何もしていない。止めろ。触るな。
そう叫ぼうとしても口は開かず、うぁ、と意味のない母音のみが漏れ出るばかりだ。
体を弄る手にぴくりと反応を示すと、先輩は薄く微笑んだ。
敏感なんだな、と呟くと、カチャカチャとベルトを外し始める。
そこで俺は漸く我に返った。
「…っやめて下さい!先輩、何してるんすか…!」
「セックス」
「そういうことを言ってるんじゃ…!…あ!ん、ちょ、せんぱ、ゃめ…!」
先輩の指が乳首を掠める。すると瞬間、びりりと電流が走ったような刺激が胸から腰に広がった。思わず高い媚びるような声がでる。
「お前も楽しんでんじゃん、可愛いよ──岩橋」
その声に気を良くした先輩は更に俺の乳首をいじりだした。
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