声-2

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「ターミナル二階にラーメン屋とお好み焼き屋があるんだよ」 「醤油ラーメン?」 二階には階段を使って上がる。 「とんこつ」 「……とんこつは良いんだ?」 既に独特の脂の匂いが充満していて、 お腹が減ってきた。 「ここに、中学んとき初めて来たとき、 食べ方がダメだって、店主に叱られたんだ」 店内は時間帯がまだ夕飯には早くガラガラだ。 漫画本がたくさんあって、 それを夢中になって読んでいる客が1人いるだけ。 「なんで叱られたの?」 「スープを飲まなかったからさ」 ………やだなぁ こだわりの店。 「お?寛太!今日は珍しく彼女連れか?」 店主が席まで顔を出す。 「友達だよ」 中山くんはメニューを見ながら 「同じでもいいの?」 私にネギ大盛を勧める。 「うん」 ネギなんて、どうでもよかったけど " 彼女 " とは 来ない店なんだなぁ、とちょっと複雑な気分になる。 「どう?うまくね?」 早速出来たとんこつラーメンは 焼いたネギの匂いで 脂臭さが和らいでいる。 「美味しい、あっさりしてる……」 生まれて初めて来たラーメン屋。 「また、来ような」 同じ思い。 「うん」 中山くんと、 どんな時間でも、一緒に過ごしたい、 そう思った。
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