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インディーズCDの発売と 定期的なボランティア活動、ライヴ活動で "空近"の知名度は 地元では、どんどん上がっていき 夏休みには 色々な行事に参加要請が 連なって 大忙しになりそうだった。 部室で 練習をしていると 中山くんの携帯が 例の 【fry】を響き渡らせた。 レイさんからだ。 キーボードを練習しながら 複雑な気持ちで 携帯電話を持って外に出る中山くんに、 目をやった。 「気になる?」 穂高先輩がイジワルな質問をする。 「……べつに……」 慣れたけど でも、やっぱり切なくなる。 「ちょっと帰ってもいいかな?」 部室に戻った、中山くんの顔は 曇っている。 「かまわねーけど?」 無表情な穂高先輩は、 理由を聞くこともなく 中山くんに手を振っていた。 「オンナかぁ?」 事情を知らないメンバーは面白がっていたけど "なんか、あったんだ" 私の心は穏やかになれなかった。
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