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「月曜日には、お返事しますよ」 DVDを受け取った局員は 中山くんの携帯番号を聞いていた。 「君は、イケメンだね、 ジュノンとかに応募してみたらどう?」 「………バンドしか興味ないんで」 私たちは 良くアピールできないまま 早々に局を後にした。 「ケロちゃん、どうする?このあと」 路面電車を待ちながら 今から戻って何が出来るか考えた。 「中間テストの勉強しなきゃね」 「あー、すっかり忘れてた」 私達は まだ高校生。 楽しいことばかりじゃない。 「一緒にしよっか?」 「え?」 「勉強」 電車に乗り込みながら 中山くんは 私の手を引いた。 「中山くん、何が得意?」 「あ、てめ、俺と勉強したって何にもならないと思ってるだろ?」 路面電車は狭い街中を、器用にカーブしながら 窓から 山と 建物と 空を 私の視界に 映し出した。 「ううん、一緒に勉強したい」 一緒に いろんな事を乗り越えたい
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