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____キスしちゃうんだ…………
今度こそ、茶化さないで
私に近付いて来て欲しい。
そう思いながら
目をつむって
私の頬を触る中山君の手の甲に、自分の手を重ねた。
教室は汗ばむほど、
暑いはずなのに
中山君からは
汗の匂いはしなかった。
「………ダメだ……」
「えっ?」
目を開けると
長い前髪で見えない目元と
高い鼻筋の横顔が
なんだか悲しく見えて
「何がダメなの?」
彼の失意が私にまで伝わり
声が震えてしまう。
「俺には、河合さんに触れる資格…ない」
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