恋-2

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一度、近づけた身体を離し、 中山くんは、近くにあった椅子に座り込んだ。 「…………お姉さんのこと?」 …………そうだ 彼には 恋人がいるんだ。 「ケロちゃんを 気になって気になって仕方ないし、 もっと近付いて 仲良くなりたいって思うのに…」 長い前髪を後ろにかきあげ、 中山くんは また下を向いた。 「…………お姉さんと続けていきたいんだね?」 こんなに 暗く 言葉を飲み込んでしまう中山くんは、 本来の彼じゃない。 レイさんとの関係が 彼に影を落としているのは間違いなく……… 「わかんねぇんだ」 「………なにを?」 私は、彼から 「レイとずっと関係していきたいかなんて わからない」 彼の中に、影を作る高い壁を 取り除きたいと 本気で思った。 「どんなに好きあっても、 結婚でもしない限り ずっとなんて、無理だよ」 自分のエゴから来ただけじゃない。 彼の悩みを軽くしたい。 そう思って、 しゃがみこんで、 彼の手を両手で包むこんだけど 中山くんは 首を横にふった。 「レイが、…… 姉さんが 妊娠したんだよ」
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