恋-2

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旧校舎の、古い部室。 中山くん以外はみんな制服姿だった。 「ケロちゃん、遅いよ。穂高もう来てるよ」 私より遠い所から通っている穂高先輩は 窓を全開にしながら、下敷きで顔をあおいでいた。 背中汗びっしょり… 走ってきたのかな? 中山くんが みんなの前に出て立ち、 「えー…この度は 私の不祥事が重なり 退学になったことから……」 「寛太うぜー」 「普通に語れや」 いつもと変わらない笑顔を振りまいていることに ちょっと安心した。 「みんなに伝えたいことがある」 中山くんの美声は 部室中に広がる。 なんだか ドキドキする。 不安と期待で 息が止まりそう…… 「定例の、養護施設での8月のライヴが終わったら 俺、 F県に出稼ぎに行きます」
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