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「何にもないよ」
一之瀬君は、もう一度笑った。
じゃあ、何しにここまで来たんだろう……
「ただね」
「……?」
「ただ、お姉さんに会いたかったんだ」
えっ……!
とても近い距離。
私を見つめる一之瀬君。
彼の白い肌が、
ルームライトのぼんやりとした明かりの中に浮かび上がる。
それが、とても綺麗で……
私は視線を外す事が出来なかった。
何だか、心臓がありえない速さで乱れ打っている。
「フットサルなんて行かなきゃ良かった、断れば良かったって、
ゲームの間ずっと思ってたんだ。
それで終わってからも、お姉さんの顔見るまでは帰れなくて来ちゃった」
一之瀬君は悪戯っ子みたいに舌を小さく出して、おどけてみせた。
「遅くにごめんね」と、付け加えながら。
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