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「そう……それならいいけどさ……」
そう言った後、一之瀬君は何か考え混むように黙ってしまった。
沈黙が流れる……
何だろ……この空気……
「で、同窓会どうだったの?
楽しかった?」
居心地の悪い空気を払しょくしたいのと、
同窓会について探りたい気持ちの両方から努めて明るく装って聞いた。
「同窓会は別に面白くなかったよ。
たいした人数も集まらなかったし……」
「そうなの?」
意外な答えが返ってきた。
「うちのクラス、元々そんなに仲が良かった訳じゃないから。
前にも話したでしょ?」
確かに以前、そんな話をした覚えがある。
彼のクラスには社会人経験者が多く在籍していたそうだ。
彼らの一度社会で揉まれた経験から出る厳しい言葉や
資格取得への並々ならぬ意気込みに対して、現役生たちはどうしても一歩引いてしまい
その結果、両者の間で微妙な空気が流れていたという。
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