故郷

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秋晴れの日の午後、私たちは出発した。 東海北陸道をひた走り、郡上八幡ICで高速を降りて国道156号線を走ってゆく。 途中、地元民ならではの抜け道を幾つか通りながら進んだ。 「ほら、ここが私の通った小学校!」 大きな交差点を抜けた先に見えてきたのは、懐かしい小学校の校舎。 「あっでも、今ってもう運動場が土じゃないんだね」 緑色の塗装に違和感を感じる。 「うん、今はどこもそうみたいだよ。 でも、結構この学校大きいね」 珍しそうに一之瀬君は移り行く景色を眺めている。 彼はスキーシーズンになると、スノボ目的で毎年郡上を訪れているみたいだけど いつも高速道路で現地まで一直線らしく、こうやって街中を横切るのは初めてだと言った。 よほどの事がなければ帰省しない地元。 暫く見ないうちに、小さな商店街の店舗も結構入れ替わっていたり、シャッターが降りている店が多くなっていた。 何だか、寂れた印象。 やっぱり、少しずつ過疎化してきてるのかなぁ 懐かしい記憶と一致しない町の景色に寂しさを覚える。
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