故郷

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「お茶飲む?」 「うん、ありがと」 当たり前のようにして持参した水筒を交互に渡しあって飲んだ。 「音が聞こえてきたね」 微かに、滝から滑り落ちる水の音が聞こえてくる。 期待でいっぱいの一之瀬君の顔。 私も、もう何度も観ているはずなのに期待で胸が高鳴ってきて 足の運びも自然に早くやってくる。 「凄いね」 初めて滝を目にした彼の驚いた表情と歓声に、私は大満足していた。 落差60m、幅約7m。 なかなかの迫力ある滝。 自慢の故郷の名所って、感じ。 「冷たい!」 滝壺から跳ね返ってくる水しぶきを浴びて、彼は楽しそうに笑った。 ここまで近寄れる滝も珍しい。 じっとしていたら、全身雨に打たれたみたいにずぶ濡れになってしまう。
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