故郷

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「小さい頃、仲良しの家族とここに来た時に、母親がタッパーを持ってきたの。 何が入ってたと思う?」 面白い事を思い出して、彼に話し掛けた。 「タッパー? オニギリとかじゃないの?」 「ブー!不正解です。 答えは、そうめん」 「そうめん!?」 「そう、滝壺の下からそうめんを流して食べたの」 「ほんとに!?」 「うん、ほんと。 天然の流しそうめんだよ」 「凄い事するよね」 絶句してる顔がまた面白い。 そして、デジカメで滝を激写し始めた。 今度はちゃんと、私ばっかりじゃなくて風景もしっかり収めているようだ。 「滝の裏側にも回れるんだけど行く?」 私の提案に 「行きたい!」 彼は目を輝かせた。 滝の側面の急斜面を目的地に向かって上っていく。 道なんて無くて、ごつごつとした岩が積み重なって出来た天然の階段があるだけ。 しかも、岩は滝から降り注いだ飛沫で常に濡れていて滑りやすい。 下手すると滝壺に落ちてしまうような場所。
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