故郷

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「滝凄かったね」 一之瀬君は車に乗り込ん後、改めてそう言ってきた。 「オレ、今までにいろんな滝を見てきたけど、こんなに近寄れるとこは無いよ。 この滝、好きだよ」 なかなか嬉しい事を言ってくれる。 「連れてきた甲斐があったよ」 ほんとにそう…… こんなに喜んでくれるなんて思ってもみなかった。 「ねぇ、お姉さん」 「何?」 「来年もここに来ようよ」 「あっ…うん…」 本当にさり気ない一言だった。 でも、それは未来への約束。 「来年は夏がいいなぁ。 暑い日に来たらきっと涼しくて気持ちいいだろうし、流しそうめんも食べたいなぁ それで、夜になったら浴衣着て徹夜踊りに行こうよ」 楽しそうに笑う一之瀬君。 彼の屈託のない笑顔が嬉しくて堪らない。 来年もきっと一緒にここに来よう。 来年の今ごろもきっと、一之瀬君と一緒にいるよね。 ずっと、一緒だよね。 私は、心の中で呟いた。
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