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2人共同じ気持ちで、一緒に前を進んでいる。
そんな気がした。
帰り道――
行きと同じ砂利道を駐車場まで歩いてゆく。
ただ、足元はさっきと違って見えにくくなっていたから慎重に進んでいく。
両脇には、ライトアップされた紅葉の木々。
まだ色づいてはいないけれども、光を浴びて輝いている様は幻想的で美しい。
それに、闇夜に浮かび上がるお城も何とも言えない良い雰囲気だった。
「ちょっと冷えてきたよね。
手がキンキン」
日が落ちて、一段と外の気温は低くなったみたいだった。
私はぶるっと身震いした後、冷たくなった手を隠す様に、上着の袖をきゅんと伸ばした。
「そんなに冷えちゃった?」
一之瀬君が立ち止まって聞いてくる。
「うん、ほら」
聞いてきた彼に
手の冷たさを伝えたくて、自分の手で彼の手を包みこんでみせた。
彼の動きがとまる
………………
どうしたんだろう……………?
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