理由

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「大谷さん、何飲みますか?」 「じゃあ、グレープフルーツジュースで」 「分かりました。 グレープフルーツジュースとジンジャーエールとアニスおばさんのパイ包み焼きと~」 メニュー表を見ながら一之瀬君はてきぱきとオーダーをしていく。 「イタリアン、好きって言ってましたよね? ここのアニスおばさんのパイ包み焼きが美味しくってオススメなんです。 最近、来てなかったから久しぶりに来たかったんですよね」 そう言って、向かいあった席で一ノ瀬君は屈託なく笑う。 彼が連れてきてくれたのは、家庭的雰囲気のこじんまりとしたイタリアン料理店だった。 さりげなく飾ってあるピノッキオの人形や絵画が可愛らしい雰囲気のお店。 「犬山城はね、日本最古の天守なんだよ。 小さなお城なんだけど割とマニアックな人には人気があるの」 「へぇ、そうなんですか。 僕は、宇和島城に行ってみたいですね」 「宇和島城?」 「そうです。 築城の名手と言われた藤堂高虎が建てた城なんですけど、遠くてなかなか行けないんですよね」
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