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交わったまま固まってしまった視線をどうにかしたかった。
楽しみにしていたイルカショー。
集中して観よう。
雑念を追い払うかのように、プールを見つめる。
音楽が鳴り出し、華やかなショーが幕を開ける。
イルカたちは元気いっぱいにリングを潜ったり、
一斉にジャンプしてボールをキャッチしたりしてみせる。
その度に、鳴り響く拍手。
楽しくて心躍るショー
なのに……
ちっとも身に入らなかった。
自分の心臓の音ばかりがうるさいくらいに聴こえてくる。
それは、
彼の…
彼の視線が……
ショーじゃなくて、私に向いているのが分かったからだった。
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