第3章

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「別に自分が食べたかったから作っただけで特に意味はないよ」 「そっか。実家に帰ったお祝いかと思った」 喉元まで飲み込んだ時に言われたので驚いてむせてしまった。 あんたさっき帰ってきたところなのにもう知ってるのかよ。 ビールを飲み喉を落ち着けながら顔で問いかけた俺に京にいは “真華” <シンカ>兄さんに聞いたと言った。 真華兄さんとは俺の兄貴の事である。 「由美さんがメールくれたんだって、宗ちゃんが来たって。何か用があって帰ったの?」 「いや、ただ気が向いたから。てか時々は帰ってたし俺」 「そうなんだ、あまり帰ってないとばかり思ってた。じゃあ家族とは仲直りしたんだ?」 仲直りって…正しくは違うよな、喧嘩してた訳じゃないし。 でも一方的に距離を置いていたのは確かだ。 「俺のただの我が儘だよ、兄貴や母さんたちは昔から俺に対して態度が変わった事は無い。だから仲直りとかそういうんじゃないんだ」
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