第4章

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********** 冷蔵庫のモーター音が微かに聞こえるキッチンで1人残された俺は思い出していた。 小学校の頃から宗ちゃんと仲の良かった幸広くん。 色白で女の子みたいで小柄だった男の子。 その子のせいで宗ちゃんが何度か怪我をした事を今も覚えている。 3人で遊んだ時、従兄弟の俺に対するものとは違う眸で彼を見ていた事を俺は知っていた。 子供ながらにも嫉妬して俺の宗ちゃんを取らないでと思っていた。 2人でいる時と3人でいる時の優先順位が俺から彼へと変わる。 それが寂しくて、悔しくて…… そんな事を思い出して胸がぎゅっと鷲掴みされたように痛んだ。 胸に手を当て、顰めた顔を意識的に元へと戻す。 最後に目を閉じ、緩やかに口角を上げ笑顔を作ると大丈夫と自分に言い聞かせた。
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