第5章

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金木犀のオレンジ色の小さな花が咲き始めた10月。 開いた窓から甘い香りが風に乗って室内に入り込んできた。 夜はすっかり寒くなり、冷たい風が肌を刺す。 けれど、そんな香りも寒さも今は感じない。 蓮二さんに組み敷かれている俺はただただ真剣見を帯びた眸を見つめていた。 「分かった……でも」 小さな沈黙の後、先に口を開いたのは蓮二さんだった。 「最後に、抱かせてくれ」 口付けを合図に、蓮二さんとの最後の夜が始まった。 何度も重なる唇。 何度も絡まる熱い舌。 何度果てても俺を貫く熱い楔。 その度に身体中に散る紅い花。 それは俺の心に、体に、刻み込むように激しくそして包み込むように優しく想いをぶつけるようだった。
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