狐の戯言

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「死ぬために、ですか」 少年は青白い顔を更に青くしながらもしっかりと頷く。 ありふれた話。捨てられるのは往々にして体が弱く働けぬ者。であるからこそ、親はこの決断をする。そして、事情を知っていればではあるが、子もまた死を選ぶことが多いという。 相互の同意がある死でも、気紛れに介入する私はやはり、変わり種なのかもしれない。そう思われたとて害は無いのだけれど。 「勿体無いこと。死んだところで解決にはならなかろうに」 俯いている少年に静かに語りかける。子が居なくなったところで冷遇されることに代わりはない。子を捨てた事への罪悪感と僅かに減った出費。他は無い。貧しいものは貧しいまま。ここは子のために売り払った土地を何もなしに取り戻せるようなお気楽な世や土地ではない。ただ、路頭に迷うまでの時間稼ぎにはなっただろうか。 けれど、それを変えてやろう。 暇潰しにはなるであろう?私は、一つ提案を口にする。
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