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双子の弟の様子がへんだと、シルフィは思った。
ここ最近、ずっとそうである。
起きた時に住居にいなくて、何故か川に行っていた日もあれば、「呼びかけて」も返事がない日が連続してあったり、何かを考えるように、ぼんやりしたりする日もある。
今朝も、白岩漬けの魚を煮た器の前で、ぼんやりとしていたシルファに、声をかけたとたん、
『えっ、あっ!?』
はっと我に返ったシルファは、その瞬間、注ごうとして持っていた器を、ガッチャンと落としてしまった。幸い中には何も入っておらず、割れもしなかったので、シルフィは器を拾い上げながら、『だいじょうぶ?』と、聞いてみたが、
『あ、ああ』と答える双子の弟の様子は、はっきり言っておかしかった。
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